シストレで避けて通れない「EA」とは何か
https://moneyzine.jp/article/detail/194469

【シストレ現場その7】
僕のミッションは相場の楽しさが増幅できるようなソフトウェアを作ることであると自分で定めています。(バックナンバーはこちら)

なぜシストレで「EA」が注目されるのか
今回は、システムトレードをするのに避けて通れない「EA」の話をします。
EAはExpert Advisorsの略語で、直訳すると「専門家の助言」です。これはもともと自動売買分野で有名なソフトウェアであるメタトレーダーの用語なのですが、ネット上ではEAという語がメタトレーダー自体と同等以上に目立つように思います。
EAはExpert Advisorsの略語で、直訳すると「専門家の助言」です。これはもともと自動売買分野で有名なソフトウェアであるメタトレーダーの用語なのですが、ネット上ではEAという語がメタトレーダー自体と同等以上に目立つように思います。
そこで、EAとは何か、なぜEAがそれほど目立つのか、EAに関して何を気を付けるべきかについて書いてみます。
EAというのは、売買ロジックを記述した一種のソフトウェアです。
しかしそれ単独で動くことはできず、何かプラットフォーム(基盤になる別のソフトウェア)の上に乗っかって動くことになります。メタトレーダー用のEAであれば、メタトレーダーの上で動くことになります。他のプラットフォーム(我々の開発しているTacticoもその1つです)では、それぞれ専用の売買ロジック記述方法があり、それぞれのプラットフォームの上で動きます。
しかしそれ単独で動くことはできず、何かプラットフォーム(基盤になる別のソフトウェア)の上に乗っかって動くことになります。メタトレーダー用のEAであれば、メタトレーダーの上で動くことになります。他のプラットフォーム(我々の開発しているTacticoもその1つです)では、それぞれ専用の売買ロジック記述方法があり、それぞれのプラットフォームの上で動きます。
なので、意味的に同一の売買ロジックであっても、異なるプラットフォーム用に作られたEA間に互換性はありません。
これはゲーム機とゲームソフトの関係に似ています。プレイステーション用のゲームは、プレイステーション本体がなければ動きませんし、他のプラットフォーム(たとえばXBOX)では動きません。なので、店頭では同じ内容のゲームであってもプレイステーション用とXBOX用がそれぞれ別の商品として売られています。
EAは売買ロジックなので、何かのEAを自作するなりどこかから調達して、メタトレーダーの上で起動すれば自動売買が開始になる、というわけです。
そこで問題になるのが、「自作するなりどこかから調達」するのをどうするのか、というところです。
EAはソフトウェアなので、自作するのはほとんどプログラムを書くのと同じスキルが必要になります。なので、それなりの知識と論理的思考能力が必要ですし、何もないところからそれを身に着けるのも時間がかかります。
僕がこの連載で繰り返し書いているのは、優れたロジックを目指してEAを書き検証する「過程」そのものが知的な作業で面白い、という主張です。しかし、世の中にはそういうことに興味を示さず、「細かいことはいいから儲かるロジックをさっさと教えろよ!」と考える人も多くいます。人間は横着なものです。
このような人に向けて、当然に「EAを販売する業者」というものが登場します。
つまり、「このEAを買ってあなたのメタトレーダーにインストールしてください、あとは放っておけば相場で儲かります」という商品ですね。
つまり、「このEAを買ってあなたのメタトレーダーにインストールしてください、あとは放っておけば相場で儲かります」という商品ですね。
ざっと調べたところでは、1回買い切りのタイプで値段は安いもので2万円ほど、高いもので30万円くらいのものまでありました。あるいは、月額5000円で継続的に課金されるタイプや、「専用のPC」がセットで100万円といったものまであるようです。専用のPCというのは、おそらくセットアップ済みのメタトレーダーがインストールされているのだと思います。あとは接続先のFX業者のアカウントとパスワードを入れるだけ、という状態にしてあるのだと推測します。
「簡単に儲かる」は本当か
じつは類似の商品は世の中にいろいろあり、FXの自動売買なんぞよりはるかに古い歴史を持っています。(次ページへ続く)
ギャンブル系の雑誌やWebサイトを見れば、競馬やパチンコの攻略法を販売している業者はいくらでも見つかります。確かに、これらの古典的ギャンブルの攻略法販売と相場とは次のような共通点があります。
・利益/損失が完全に運だけで決まるとはいえない要素を持っている
・「その道のプロなら勝てる」ように見え、実際そういうプロの世界も存在する
・売るのは情報だけで、最終的な損益に業者が責任を持つわけではない
・「その道のプロなら勝てる」ように見え、実際そういうプロの世界も存在する
・売るのは情報だけで、最終的な損益に業者が責任を持つわけではない
これに加えて、これまでの損失を取り戻したい心理をくすぐったり、指示に従うだけで簡単に儲かると煽るような演出で広告をするわけです。
もう1つこれらが似ている証拠に、ネットで適当に検索してもらうとわかるのですが、「EA販売のWebサイト」と「競馬情報販売のWebサイト」は、どちらも非常によく似たデザインのものがあります。同じ人がデザインしたといわれても違和感ないものもあります。
推測ですが、これまで競馬やパチンコの情報を販売していた業者がFXにも手を出した、というケースは多いと思います。たしかにどちらも商売のノウハウとしてはほとんど一緒ですし、対象とする顧客の層もかなり重なっていると思われるので、すでに経験のある業者にとってはやりやすいでしょう。
なお、一応断っておくと、全部が全部いかがわしい業者というわけではありません。EA販売ではあっても、わりと実直にやっているところもあります。
ところで、このようなものを買うという行為はどうなんでしょうか?
常識的に考えて、こんな数万円のものを買ってくるだけで自動で利益が積みあがっていくというのはあり得ないでしょう。
常識的に考えて、こんな数万円のものを買ってくるだけで自動で利益が積みあがっていくというのはあり得ないでしょう。
もしそれほど儲かる手法があるのなら、それを使って自ら売買を手掛けたほうが簡単に利益が手に入ります。それなのに、わざわざWebサイトを作り、あちこちに広告を出し、顧客からの質問やクレームに応える手間と費用を惜しまないのは、自ら相場を張るよりそのロジック自体を販売した方が彼らにとって合理的だからに他なりません。
それは一般顧客の立場としては、このようなものを買っても大して相場で儲かるわけではない、ということを意味します。わざわざ買ってくる価値はないと判断するのが普通でしょう。そもそも、楽して儲かるという話は常に怪しいのです。
なので、この手のEA販売はほとんど詐欺に近いものがあるわけですが、だからといって一概に悪と決めつけるべきだとは僕は思いません。
自己責任で判断できる人だけが遊んでよい
相場の世界というのは、「物の値段の決定は市場に任せる」という自由経済の原則と、労せずして利益を得たい人間の欲が交差する場所です。
そういう欲も含めて人間のあるがままの姿なので、下手に隠すべきではないと思います。ついでにいうと、ポルノを子供に見えないように法で規制するのも僕は反対です。いくら規制しても需要がある以上、必ずどこかで生き延びるものなので、そういう世界もあるということを最初から子供にちゃんと教えておいたほうが、いざ接触することになった場合正しい判断ができるようになるでしょう。
この魅力は例えるなら、歌舞伎町のようないかがわしさです。日本一の繁華街といわれる東京の歌舞伎町には変な店がいろいろあり、ぼったくりや犯罪行為に遭う可能性はほかの場所より格段に高いです。そういう危険があるということを理解し、自己責任で判断できる人だけが遊んでよい場所、と社会的に認知されています。
一方、大手証券会社で売っている投信のような世界は対極にあります。こちらは規制でがんじがらめで、誰が手を出してもほとんど同じ楽しみ方しかできません。いかがわしさはありませんが、上品すぎてつまらないのです。これも例えるならディズニーランドといったところでしょうか。
納得したものにだけ金を払う
管理された世界ばかりにいると、いざというときに物事を正常に判断することが難しくなります。僕としては、こういういかがわしいEA販売業者も含めて相場の世界の生態系だと思うので細々とでも存続してほしいですが、なにぶん詐欺と隣り合わせの商売なのであまりやりすぎて大きな事件になれば将来的には法の規制が入るかもしれません。
いずれにせよ、売り文句を丸のみして買いに走るのも、危険な商品だからといって一般の目に触れないように一律に禁止するのも、賢い方法ではありません。中身をよく見た上で仕掛けを理解し、納得したものにだけ金を払う姿勢が重要です。
【関連記事】
・僕の使命は相場を楽しめるソフトウェアの作成 【シストレ現場その1】
・そもそもシステムトレードとは何か 【シストレ現場その2】
・自動売買で勝率55%でも「儲けが出ない」理由 【シストレ現場その3】
・勝利を求めると株式投資は「質の高い娯楽」になる 【シストレ現場その4】
・僕の使命は相場を楽しめるソフトウェアの作成 【シストレ現場その1】
・そもそもシステムトレードとは何か 【シストレ現場その2】
・自動売買で勝率55%でも「儲けが出ない」理由 【シストレ現場その3】
・勝利を求めると株式投資は「質の高い娯楽」になる 【シストレ現場その4】
コメント
コメントを投稿